ビールの勉強方法｜基本から学ぶビールの魅力を紹介

ビールについての知識を深めることは、ビールをより楽しむために重要であり、ビール愛好者にとって非常に意義のあることです。

ビールの種類、醸造プロセス、歴史など、様々な側面からビールを学ぶことで、より豊かなビール体験を楽しむことができます。

本記事では、ビールの勉強方法について詳しく説明します。

ビールを勉強するのにおすすめの本

ビールを体系的に勉強するには、書籍を購読するのが効率の良い方法です。

とはいえ、いきなり難しい本を読んでも挫折するので、まずは初心者用の本から勉強することをおすすめします。

本記事では、以下のとおりにランクを分類しておすすめの本を紹介します。

それでは、順に見ていきましょう！

 

初心者向けの本３選

ビールを勉強するのに、初心者向けの本は以下のとおり。

 

 

1. 『世界のビール図鑑』 - マイナビ出版

「一般社団法人 日本ビール文化研究会」と「一般社団法人日本日本ビアジャーナリスト協会」が監修。

一般社団法人 日本ビール文化研究会は、ビール文化を発展・普及させることを目的に、2012年1月に設立。

一般社団法人日本日本ビアジャーナリスト協会は、ビールのおいしさ・楽しさを正しく消費者に伝えるために活動し、新商品情報や各地のイベント情報などを定期的に発信している団体。

ビールのスタイル、歴史、文化、詳しく解説しており、美しい写真も多数掲載されています。

ビール愛好家にとっては必読の一冊です。

 

 

2. 『ビールを楽しむ本』 - 枻出版社

ビールの選び方や楽しみ方について、初心者向けに丁寧に解説しています。

日本国内外のビールの紹介や、おすすめの飲み方、フードペアリングなど、ビールを楽しむためのヒントが満載です。

 

 

3. 『恋するクラフトビール』 -  KADOKAWA

マンガで、ビールの基本的な情報から、ビールをより深く楽しむための知識まで、幅広く紹介しています。

初心者がビールに親しみを持てるように、わかりやすく書かれています。

 

 

中級者向けの本３選

ビールを勉強するのに、中級者向けの本は次のとおり。

 

 

1. 『ビールの教科書』 - 講談社学術文庫

ビールの種類や飲み方、楽しみ方、さらには自家醸造の方法まで幅広くカバーしています。

ビールをもっと楽しみたい人や、ビールについて深く学びたい人にとって非常に有用な情報が詰まっています。

 

 

2. 『ビール大全』 - 楽工社

世界的なビール評論家ランディ・モーシャーが手掛けたビールの百科事典的な一冊です。

世界各国のビールや醸造所、ビールスタイルについて詳しく解説しており、ビール愛好家にとって必読の一冊です。

 

 

3. 『知って広がるビールの世界 』 -ビア検公式テキスト

ビールの歴史、文化、種類、醸造方法など、中級者がさらに知識を深めるための内容が豊富に含まれています。

ビア検定の公式テキストなので、楽しみながら資格の勉強もできます。

フルカラーで、ビールの楽しみ方をより深く理解できる一冊です。

 

 

上級者向けの本３選

上級者向けの本は次のとおり。

 

 

1. 『ビールの科学』 - 講談社ブルーバックス

ビールの製造過程や成分、化学反応について科学的に解説しています。ビールの歴史や文化、そして世界各地のビールの種類についても触れています。ビールの科学的な側面を深く理解したい人に最適です。

 

 

2. 『モルトウィスキー・コンパニオン』 - 小学館

モルトウィスキーと同様に、ビールのテイスティングや評価方法についても詳しく解説しています。

著者はビール評論の第一人者であり、ビールの味わいや風味を深く理解するためのガイドとして最適です。

 

 

3. 『ビールの常識―絶対飲みたい101本』 - アスキー

ビールの基本から上級者向けの知識まで幅広くカバーしています。

ビールの歴史や醸造方法、テイスティング方法などを深く掘り下げています。

 

これらの本を通じて、初心者から上級者まで、ビールの知識と楽しみ方を深めることができるでしょう。

 

 

ビールの種類を学ぶ

ラガーとエールの違いを理解する

ビールを勉強するために、まずは「ラガー」と「エール」の違いを理解することが重要です。

それでは、順に見ていきましょう！

 

 

ラガーとは？

ラガーは、低温で発酵させるビールの一種です。

爽やかでクリスプな味わいが特徴で、一般的にアルコール度数が低めです。

代表的なラガーには、ピルスナーやヘレスがあります。

 

 

エールとは？

エールは、常温で発酵させるビールの一種です。

フルーティーで豊かな風味が特徴で、ラガーよりも風味が強いものが多いです。

代表的なエールには、ペールエールやIPA（インディア・ペール・エール）があります。

 

 

ラガーとエールの比較

ラガーとエールは発酵方法や風味に違いがあり、それぞれの特徴を理解することで、ビール選びが楽しくなります。

ラガーは低温で発酵させるため、すっきりとした味わいが特徴です。

エールは高温で発酵させるため、複雑で深みのある風味を持っています。

この違いを知ることで、飲むシーンや好みに合わせたビール選びが可能になります。

 

例えば、軽くて飲みやすいビールが好きな場合はラガーを、風味豊かで個性的なビールが好きな場合はエールを選ぶと良いでしょう。

ラガーは暑い夏の日や、軽い食事と一緒に楽しむのに最適です。

一方で、エールは寒い冬の夜や、濃厚な料理と一緒に楽しむのにぴったりです。

このように、シチュエーションや料理に合わせてビールを選ぶことで、より豊かなビール体験が得られます。

 

 

スタイルごとの特徴を学ぶ

 

 

 

スタウトとポーター

スタウトは、焙煎したモルトを使用することで、濃厚でコーヒーやチョコレートのような風味が特徴です。

ポーターも同様に濃い色のビールですが、スタウトよりも少し軽い風味が特徴です。

 

 

ウィートビール

ウィートビールは、小麦を使って醸造されるビールで、フルーティーで爽やかな味わいが特徴です。

特に夏にぴったりのビールです。

 

 

サワーエール

サワーエールは、酸味が特徴のビールで、独特の酸っぱさが楽しめます。

フルーツを加えて醸造されることが多く、バラエティ豊かな味わいが魅力です。

 

 

ビールの醸造プロセスを学ぶ

原材料について

ビールの原材料は主に次のとおり。

それでは、順に見ていきましょう！

 

 

モルト

モルトは、ビールの風味と色を決定づける重要な原材料です。

例えば、モルトはビールに甘味やコクを与える基盤となる要素であり、ビールの基本的な味わいの骨格を形成します。

モルトの種類や処理方法によって、ビールの最終的な風味や色に大きな影響を与えることができます。

このため、醸造家はモルトの選定に非常にこだわり、様々なモルトを組み合わせて独自の風味を作り出しています。

 

また、ビールの原材料としては、大麦や小麦が一般的に使用され、焙煎の度合いによって異なる風味が生まれます。

例えば、軽く焙煎されたモルトは、ビールに淡い色と繊細な風味を与えます。

一方、強く焙煎されたモルトは、ビールに濃い色と複雑な風味を付加します。

これにより、キャラメルのような甘味やチョコレート、コーヒーのような深い風味を持つビールが作られます。

また、特定の種類のモルトを使用することで、ビールにナッツやトーストのような香ばしいニュアンスを加えることもできます。

このように、モルトの選定と焙煎の度合いは、ビールの風味と色を多様に変化させる重要な要素となっています。

 

 

ホップ

ホップは、ビールに苦味と香りを与える植物です。

例えば、ホップはビールの防腐剤としての役割も果たし、ビールの保存性を高める重要な成分です。

ホップに含まれるα酸がビールに苦味を与え、また精油がアロマを提供します。

このため、ホップはビールの味わいや香りを決定づける要素として、ビール醸造に欠かせない存在です。

 

ビールの種類によって、使用するホップの種類や量が異なり、それによってビールの風味が大きく変わります。

例えば、IPA（インディア・ペール・エール）のようなビールでは、ホップの量が多く使用され、強い苦味と華やかな香りが特徴です。

一方、ラガービールやピルスナーでは、ホップの量を控えめにし、よりバランスの取れた味わいに仕上げられます。

また、使用するホップの品種によっても風味が異なり、シトラやカスケードのような品種は柑橘系やフローラルな香りをビールに与えます。

これに対して、ノーザンブルワーやファグルのような品種は、より草木やスパイシーな香りを持つビールを作り出します。

このように、ホップの選定と使用量は、ビールの最終的な風味に多大な影響を与えるため、醸造家はホップの特性を熟知し、理想のビールを醸造するために工夫を凝らしています。

 

 

イースト

イーストは、発酵を行う酵母で、ビールのアルコール度数や風味に影響を与えます。

例えば、イーストは麦汁中の糖分をアルコールと二酸化炭素に変換する過程で、エステルやフェノールなどの副産物を生成します。

これらの副産物がビールの風味に独自の特徴を与え、酵母の種類や発酵条件によってビールの最終的な味わいが大きく変わります。

したがって、適切なイーストの選定は、理想的なビールを醸造するための重要な要素です。

 

エール用のイーストとラガー用のイーストがあり、それぞれの発酵方法に適しています。

具体的には、エール用のイーストは高温で発酵するため、発酵が比較的速く進行し、フルーティーなエステルやスパイシーなフェノールの風味を多く生成します。

例えば、エールビールには、ペールエールやスタウト、ポーターなどがあり、それぞれ独特の風味を持っています。

一方、ラガー用のイーストは低温でゆっくりと発酵するため、クリーンでクリスプな味わいが特徴です。

ラガービールには、ピルスナーやボック、ドルトムンダーなどがあり、これらは一般に滑らかでバランスの取れた風味を持ちます。

このように、エールとラガーのイーストは発酵温度や期間、生成する風味が異なるため、ビールのスタイルに応じて使い分けられます。

 

 

醸造の工程

ビール製造の工程は大きく分けると、次のとおり。

それでは、順に見ていきましょう！

 

 

仕込み

モルトを粉砕し、温水で糖化することで、麦汁を作ります。

例えば、まずモルト（大麦や他の穀物を発芽させたもの）を細かく砕き、スターチを露出させます。

次に、この粉砕されたモルトを温水に浸すことで、酵素が活性化され、スターチが糖に変換されます。

この過程を「糖化」と呼び、数時間かけて進行します。この糖化によって得られた液体が麦汁であり、ビール醸造の次の段階へと進みます。

この過程でビールの基礎となる風味が形成されます。

つまり、麦汁の中で発生する糖分や他の成分が、ビールの最終的な味わいに大きな影響を与えます。

例えば、糖化温度や時間の調整により、甘味やボディ感、マウスフィールといったビールの特徴が決まります。

また、モルトの種類や配合も風味に影響を与え、キャラメルのような甘味やトーストのような香ばしさを持つビールが作られることもあります。

こうして作られた麦汁は、次の段階でホップや酵母と組み合わせられ、最終的にビールの複雑な風味が完成します。

 

 

発酵

麦汁にイーストを加えて発酵させます。

例えば、麦汁が適温に冷却された後、特定の酵母菌株が添加されます。

酵母は麦汁中の糖分を消費し、アルコールと二酸化炭素を生成します。

この発酵過程は数日から数週間続き、発酵の進行具合によってビールのアルコール度数や炭酸の量が決まります。

発酵温度や酵母の種類も、ビールの最終的な風味に大きな影響を与える重要な要素です。

 

この過程でアルコールと二酸化炭素が生成され、ビールの風味が豊かになります。

つまり、発酵中に酵母が生成するさまざまな副産物がビールに複雑な風味を与えます。

例えば、エステルやフェノールといった化合物がフルーティーな香りやスパイシーな香りを生み出します。

また、発酵温度の微妙な変化が、ビールの味わいに違いをもたらすこともあります。

高温発酵ではよりフルーティーなエステルが多く生成され、低温発酵ではクリーンでシャープな風味が得られます。

こうして発酵を経たビールは、熟成期間を経て最終的に瓶詰めや樽詰めされ、市場に出回ることになります。

 

 

熟成

発酵が終わったビールを一定期間熟成させることで、風味がまろやかになり、完成度が高まります。

例えば、ビールを熟成させることで、発酵中に生成された余分なガスや不安定な成分が安定し、全体的なバランスが整います。

この熟成期間は数週間から数ヶ月にわたり、ビールの種類やスタイルによって異なります。ラガービールの場合、低温での長期間の熟成が一般的であり、これによりクリアで滑らかな風味が得られます。

この熟成期間中に、ビールの風味がさらに発展し、複雑さが増します。

例えば、ビール中の成分がゆっくりと反応し合い、微妙な風味の変化が生まれます。

フルーティーなエステルやスパイシーなフェノールのバランスが取れ、全体的な飲み口がまろやかになります。

熟成中に酵母や固形物が沈殿し、ビールがクリアになり、見た目も美しくなります。

また、熟成はアルコールの鋭さを和らげ、より一体感のある風味を提供します。

こうして熟成を経たビールは、完成度が高まり、消費者に提供される際にその本来の美味しさを最大限に発揮することができます。

 

 

ビールの歴史と文化を学ぶ

ビールの起源

ビールの起源は次の２つとされています。

それでは、順に見ていきましょう！

 

 

古代のビール

ビールの起源は古代メソポタミアやエジプトに遡り、紀元前4000年頃には既にビールが醸造されていたと言われています。

例えば、メソポタミアのシュメール人はビールを神々への捧げ物として使用していた記録が残っています。

さらに、エジプトではビールが日常の飲み物として広く消費されており、ピラミッド建設に従事していた労働者たちの主要な栄養源の一つだったとされています。

 

当時のビールは、現在のものとは異なり、濁った液体で、パンを使って発酵させていました。

つまり、ビールの製造方法は非常にシンプルで、発酵した麦汁にパンを浸して作られていたのです。

現代のビールとは異なり、ろ過されていないために見た目が濁っており、味も異なっていたと考えられます。

このようなビールは栄養価が高く、特に労働者や兵士にとって重要な食糧源となっていました。

 

 

中世ヨーロッパのビール

中世ヨーロッパでは、修道院がビール醸造の中心となり、品質や技術が大きく向上しました。

例えば、ベネディクト会やシトー会の修道士たちは、ビールの製造技術を磨き上げ、レシピを工夫していきました。

修道院内でのビール醸造は、修道士たちの生活を支えるだけでなく、地域社会においても重要な役割を果たしていました。

このような背景から、修道院で醸造されたビールは高品質で信頼性が高いとされ、多くの人々に愛飲されるようになったのです。

 

この時期にホップがビールに加えられるようになり、現在のビールの形が整いました。

具体的には、ホップの添加によってビールは保存性が向上し、風味にも独特の苦味が加わりました。

ホップの使用は、ビールを長期間保存するための防腐効果があり、輸送や貯蔵が容易になったのです。

これにより、ビールは地域を超えて広く流通するようになり、各地で独自のビール文化が形成されていきました。

現代のビールの特徴である爽やかな苦味と香りは、この中世ヨーロッパでの革新に起源を持っています。

 

 

近代のビール産業

近代のビール産業の発展は大きく次の２つが起因しています。

それでは、順に見ていきましょう！

 

 

産業革命とビール

産業革命により、ビール醸造は大規模に行われるようになり、品質管理や輸送技術が発展しました。

例えば、蒸気機関や機械化された製造装置の導入により、大量のビールを効率的に生産することが可能になりました。

さらに、科学の進歩に伴い、発酵プロセスの理解が深まり、安定した品質のビールを作るための技術が確立されました。

品質管理の向上は、消費者にとって一貫した味わいを提供することを可能にし、ビールの信頼性を高めました。

また、輸送技術の発展により、ビールはより遠方の市場にも届けられるようになり、国際的なビール市場の拡大に寄与しました。

 

この時期に、ラガービールが世界中で人気を博するようになりました。

具体的には、ラガービールは低温で発酵させる製法により、すっきりとした味わいと爽やかな飲み口が特徴です。

この製法は特に19世紀のドイツやチェコで発展し、世界中に広まりました。

例えば、プルゼニのピルスナーはその代表的なラガービールであり、世界中のビール愛好者に親しまれています。

ラガービールの人気は、工業的な大量生産と相性が良く、安定した品質を保ちながら広範囲に流通することが可能でした。

このようにして、ラガービールはビール市場の主要なスタイルとして定着し、現代でも広く愛されています。

 

 

クラフトビールの台頭

20世紀後半からは、クラフトビールが人気となり、個性的で多様なビールが市場に登場しました。

例えば、アメリカでは1970年代からクラフトビールブームが始まり、小規模な独立系醸造所が次々と誕生しました。

これらの醸造所は、大手ビールメーカーとは異なる独自のレシピや製法を採用し、多様なフレーバーやスタイルのビールを提供しています。

クラフトビールは、ビール愛好者にとって新しい味わいや体験を提供するだけでなく、ビールの製造過程や原料に対する理解を深めるきっかけにもなっています。

 

小規模醸造所が増え、地域ごとの特色を生かしたビールが楽しめるようになりました。

例えば、地域ごとに異なる水質や気候、地元で採れるホップや麦を活かしたビールが醸造されています。

これにより、ビールの多様性が広がり、各地を訪れる際にその土地ならではのビールを楽しむことができるようになりました。

地域ごとの特色を持つクラフトビールは、地元の文化や伝統を反映しており、地元の人々にとって誇りとなっています。

また、クラフトビールの人気は地元経済の活性化にも寄与しており、観光資源としても注目されています。

このようにして、クラフトビールはビール業界に新たな風を吹き込み、消費者に多様な選択肢を提供しています。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

本記事では、ビールの勉強方法について紹介しました。

ビールを体系的に勉強するには、書籍を購読するのがベストです。

ビールの種類、醸造プロセス、歴史と文化を学ぶことで、ビールへの理解が深まり、より一層楽しむことができます。

ビールの勉強は、飲むだけでなく、知識を深めることで、ビールの魅力を多角的に味わうことができる素晴らしい方法です。

以上、参考になれば嬉しいです。